症状別治療法

症状別治療法

急性の腰痛、俗に言うギックリ腰

ギックリ腰について
「ギックリ腰」という病名は正式には存在しません。一般的には「筋・筋膜性腰痛」の急性型を指すことが多く、「魔女の一撃」とも呼ばれるほど、突然腰に激しい痛みが走り、動けなくなることがあります。
重いものを持ち上げたり、腰を強くひねった際に起こるイメージがありますが、実際にはくしゃみや咳、洗顔、物を取ろうと前かがみになった瞬間など、日常の些細な動作で発症することが多く、時には朝起きた瞬間に痛みが出るなど、明確なきっかけがない場合もあります。
この状態は、腰を支える筋肉に疲労物質が蓄積したり、暴飲暴食などによって内臓の働きが低下し、隣接する腰部筋群に炎症が起こっていると考えられます。


症状の経過
ピーク:発症から24~48時間が最も痛みが強くなる時期です。
回復:1週間ほどで強い痛みは落ち着き、2週間ほどで自然に改善するケースが多く見られます。


当院での治療方針
急性期には、腰痛の原因となる身体の歪みを整える「基本調整」を行います。
症状や状態に応じて、以下の治療を組み合わせます。
鍼治療:消炎鎮痛と筋緊張の緩和を目的に実施
テーピング:リンパの流れや筋肉の動きを活性化するために使用
治療後は、通常通り入浴していただいて構いません。

慢性の腰痛と神経痛

数週間から数カ月、あるいは数年にわたって続く腰まわりの痛みや、臀部から太もも、ふくらはぎにかけての痺れ・ツッパリ感。
これらは、急性期を過ぎて慢性期へと移行した腰痛や坐骨神経痛の症状です。
慢性的な腰痛を訴える方の多くは、過去にぎっくり腰を経験されており、1~2年単位で定期的に再発するケースも少なくありません
症状は人によって異なりますが、以下のような傾向が見られます:
- デスクワークや電車通勤、車の運転など、長時間の座位がつらい
- 朝、ベッドから起き上がるのが苦しい
- 長時間同じ姿勢を続けた後、立ち上がる瞬間や体勢を変える際に痛みが出る


原因はさまざまで、職場環境や生活スタイルによる偏った身体の使い方、不良姿勢、ストレスなどが挙げられます。
また、加齢に伴う腰椎の変形や椎間板の変性も一因と考えられます。


治療の基本は、偏った使い方によって乱れた骨格や骨盤のバランスを整えること。
身体が「正しい状態」を記憶し、自然に維持できるようになるまで、数回に分けて施術を行います。
骨盤や筋肉が正しいポジションに馴染み、安定した状態で筋力がついてくれば、再発のリスクも大きく減らすことができます。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、背骨のクッションの役割を持つ椎間板の中にある「髄核」と呼ばれるゼリー状の組織が外に飛び出し、神経を圧迫することで腰や足に痛みやしびれを引き起こす疾患です。
加齢による変化や、重い物の持ち上げ、長時間の中腰姿勢などが原因となり、発症することがあります。主な症状は、腰やお尻の痛み、足のしびれ・麻痺などで、日常生活に支障をきたすほどの痛みを伴うこともあります。診断にはMRI検査が用いられます。
多くの場合、保存的治療(安静・薬物療法・物理療法など)で改善し、自然に治癒することもあります。ただし、排尿・排便障害や筋力の低下(筋萎縮)が見られる場合には、手術が必要となることもあります。
当院にお越しの患者さまの中にも、過去に椎間板ヘルニアと診断された方や、手術を受けられた方が少なくありません。
病院でのブロック注射や鎮痛剤が効かなくなって来たり、発症と軽快を繰り返し慢性化してる方も多く来院されます


まずは、腰部にかかる負担や神経を圧迫している原因を取り除くため、骨盤や全身に対する基本的な調整を行います。多くの場合、この段階で症状は大きく改善されます。
ただし、発症から時間が経過している方は、痛みを避けるために身体の歪みを作ってしまっているケースが多く見られます。これらの歪みをすべて取り除き、再発を防ぐためには、複数回の治療が必要となります。
また、神経症状が強い場合には、鍼治療を併用することもあります。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは、加齢や椎間板ヘルニア後の腰椎の変形が原因で背骨にある神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、脊髄や神経が圧迫されることによって、腰や下肢に痛み、しびれ、麻痺などの症状を引き起こす病気です
間欠跛行(かんけつはこう)が主症状で、しばらく歩くと下肢にしびれや痛み、脱力感が生じて歩きにくくなるものの、少し前かがみや座位になって休むと症状が軽快し、再び歩けるようになるのが特徴です
まれに膀胱や直腸をコントロールする神経が圧迫されて排尿・排便障害が生じることがあり、この場合は手術対象となります
多くの場合は保存的療法で症状の緩解や治癒が見られますが、治療期間や回数は長く多くなる傾向ががあります
腰部に掛かる負担や脊柱管の蛇行による狭窄をとる目的に基本的な調整を加え
状態により腰部や下肢の筋緊張や血行改善を目的に鍼治療などを行います